去年から始めた自分の好きな音楽の年間ベストであるが、2015年に買った中で最もよく聞いたCDを3枚挙げてみることにする。2015年も色々な音楽を楽しめたが、来年早々には、英Kentから初期StaxのシングルB面の未CD化曲集が出るので、楽しみにしている。
1) ちーむ・おとめ座/恋そめし(ワーナーミュージック・ジャパン, 2015)
これは別項にて書いたが、9月にCD+DVDが発売され、即購入した。回数的にはこれが一番多く聞いた。紅白には残念ながら出れなかったが、来年もダンサブルな新作をお願いします。また、彼女たちの成長が楽しみです。
2) Bob Dylan / The Cutting Edge 1965-1966 (The Bootleg Series Vol.12)(Sony Legacy, USA, 2015)
Bob Dylanの未発表曲、アウト・テイク集もこれで12作目になったが、ファンの皆が待ち望んでいた全盛期の1965~1966の集大成が発売されてしまった。LPでいうと、”Bringing It All Back Home”, “Highway 61 Revisited”, “Blonde on Blonde”の3作分になる。この頃のDylanはゲームでいう無敵の状態で、いくらでも曲や歌詞のアイディアが湧いてきたと思われる。
商品としては、CD2枚組のダイジェスト版(The Best of The Cutting Edge)、CD6枚組のDeluxe Edition、そしてCD18枚組のCollecter’s Editionの3種類がある。
Collecter’s Editionは、数秒で終わってしまうような没テイクなども含めてテープが残っているものは全て収録したもので、楽曲が最終ヴァージョンとして完成する状況が聞けるように構成されている。アメリカのディランのサイトのみで限定5000セットの販売である。7インチ・シングル盤9枚と写真集などのおまけがついており、価格も本体が約600ドル、送料も含めると約85000円で、さらに日本で消費税がかかるようだ。
私はかなり迷った末に、10月下旬にCollecter’s Editionを注文した。ところが、2週間ほど経ってから、注文のステイタスをサイトで確認してみると、”cancelled”となっていた。クレジットカード会社には、約85000円の請求が相殺されずに残っていたため、メールで問い合わせたところ、キャンセルの理由は数量が予定数をオーバーしたとのことだった。日本の楽天のように残り数量のカウンターがなく、Sold Outの表示もないので、どうしようもない。その後1週間ほどでクレジットの代金は相殺されたが、その時点でも、サイトに売切の表示は出ていなかった。
がっくりきて、インターネットで探したのだが、日本のSONYのサイトでも100セットが売り切れとなっていたため、やむをえずCD6枚組のDeluxe Editionを購入した。ところが、それから1か月ほど経って、日本のSONYのサイトを再度ふと見たところ、購入可能状態になっており、半信半疑で注文したところ2日後にセットが届いた。キャンセルなどがあって、その分が追加販売されたようだが、4日後にもう一度みたところ、売り切れになっていた。ある意味良いタイミングだったといえる。日本のサイトの価格は消費税、送料込みで95000円。アメリカから直接買うよりも5000円くらい高いが仕方ない。ただ、CD6枚組の方が無駄になってしまった。
高い買い物になってしまったが、内容的には、「よく発売してくれました」、という感謝の気持ちで一杯である。個人的には、“Visions Of Johanna“, “Can You Please Crawl Out Your Window?”, “Queen Jane Approximately”, “Just Like Tom Thumb’s Blues”の初期ヴァージョンなどがアウト・テイクという以上に楽しめた。一方で“Like a Rolling Stone”や”Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again”などは、だんだん曲が完成していく様子がよくわかったが、発売されたヴァージョン以外は未だ発展途上という感じで没テイクも当然という感じである。なにしろ枚数が多いので、まだ全部よく聞けていないが、これからも色々な発見があると思う。
3) Various Artists / Back To The River : More Southern Soul Stories 1961-1978 (Kent, UK, 2015)
これは12月になってからKentが出したサザン・ソウルのCD3枚組(計75曲)の編集版で、2008にリリースされた、やはりCD3枚組の”Take Me To The River : Southern Soul Stories 1961-1973”の続編である。今回の続編は1作目に比べて、幅広い地域、スタイルの人達を集めており、歌手的にはマイナーな人が多く、30曲ほどは初めて聞く曲で興味深かった。その中で、2曲だけこれはという曲を挙げておく。
・The Soul Children / Yesterday
何とビートルズのイエスタデイである。Stax末期1975年の未発表曲であるが、残り物という感じは全くない。長さが表記上(実質は9分弱でフェイドアウト)は9:16もあり、初めの4分ほどは、女性陣がイエスタデイを情感たっぷりに歌い上げる。原曲がソウルぽさのないポピュラーなメロディの曲だけに聞く前はかなり不安だったが、なかなか見事に仕上げられている。その後で、John Colbertによるサーモン調の語りに入っていき、メンバーの過去(すなわちYesterday)を紹介するのだが、これが火を吐くような猛烈なヴォーカルで悶絶。Wilson PickettのHey Judeと並ぶビートルズの傑作カバー曲といえるだろう。
・Ground Hog / Going Back Home
Ground Hogというのは、あだ名で本名は Joe Richardson。1970年のシングル盤だが、初めて聞いた。これが、CCRのBorn On The Bayouのような少しおどろおどろしいロック調の曲でこれも悶絶。なお、その後、何度か聴いていたら、Lowell FulsonのLady in The Rainをもっとアグレッシヴにした感じの曲と感じた。この人は私の大好きなRoy Cの曲も歌っており、シングル盤をCDにまとめてほしい。
(その他1)今年はB.B.Kingが亡くなった。日本のP-Vineで17CDのボックスが出たが、価格が40000円ちょっとするのと、手持ちのCDとのダブりが非常に多いため、パスした。代わりにCD5枚セット123曲の”The Complete Singles As & Bs” (Acrobat)と未発表曲中心の編集版”Here’s One You Didn’t Know About”(Ace)を購入。ただし、後者はもうそろそろ到着するはずなのだが、未着。
(その他2)毎年年末近くなると、楽しみにしている”Classic Blues Artwork From The 1920s Calendar”が今年もリリースされた。今年は3枚も80数年前の78回転盤が新たに発見され、CD化された。Jaydee ShortのParamount 13091は音質最低だが、これしかこの世にないので仕方ない。Hattie HydeのVictor 23374とPapa Charlie McCoyのVocalion 1683もついに聞くことができた。来年もWillie Brownのまだ見つかっていないParamount盤2枚の発見に大きな期待がかかっている。
(その他3)未CD化のシングル曲を集めた”George Jackson / Many Labels Of George Jackson” (Spoonful)には大いに期待したのだが、正規CD化されているHiなどの曲が数曲混じっており、不完全燃焼の編集だった。George Jacksonについては、英Kentにお願いしたいが、Fame録音の未CD化のシングル曲と色々な編集盤に1、2曲ずつ分散している曲をまとめて、The Fame Recordings Vol.4を出してほしい。
以上
Recent Comments