旧奥州街道Walkingその3 鍋掛~白河
正月に実家に帰省した際に、旧奥州街道の残り区間である鍋掛~白河間を歩いてしまうことにした(日本橋~白河間が江戸幕府が直轄で管理する区間であるが、実際には奥州街道は白河から先も北へずっと続いている(参勤交代に使われたが、地方の藩の管理にあった))。
この日のコースは、宿場としては、鍋掛十文字をスタートして、鍋掛、越堀(こえぼり)、芦野、白坂、白河の5宿分である。距離的には約31kmである。
今回も、那珂川、余笹川、黒川といった川を横断していき、奈良川沿いに北上し、栃木、福島の県境の峠(境の明神)を越え、白河へと至るものである。芦野から白河まではおおむね国道294号線沿いを歩いて行く。なお、現在の主要な道路(国道4号線、東北自動車道)や鉄道(東北本線、東北新幹線)は、もっと西側の標高が少し高い位置を通っている。
白河では時間が少し余ったため、白河駅から先に奥州街道を2kmほど行ったところにある一等三角点の富士見山(標高437m)を登って終了とした(別項)。
主な地点の標高は、鍋掛・越堀(約235m)、富士見峠(295m)、芦野(約260m)、境の明神(約410m)、白坂(約400m)、白河(約360m)である。
当日は、宇都宮駅8:02発の東北本線の普通列車でJR黒磯駅に8:56着。今回はタクシーで鍋掛十文字まで行った(所要11分)。9:21に出発。写真は鍋掛十文字バス停と旧奥州街道。
鍋掛十文字から500mほど歩くと、鍋掛宿に入る。ここは次の越堀宿とセットで、那珂川を渡るための宿場であった。現在の県道は左斜めに曲がって那珂川の橋まで進むが、旧道は直進して川にぶつかったら左折する。
旧道が川沿いに左折する地点を9:29に通過。
昭明橋(しょうめいばし)で那珂川を渡る。
那珂川の上流方面。
越堀宿に入る(9:35)。2つの宿場間の距離は1kmもない。
宿場の北側の枡形と記念碑。
標高差15mほどの丘陵を横切る。
富士見峠への登りの途中から振り返った茶臼岳(1915m)を中心とする那須連峰。
一度低地に下りてから、標高差約45mの切通し状の富士見峠(標高295m)を越える。
峠から坂を少し下り、寺子の交差点にある寺子一里塚を通過。
交差点からは余笹川に向かってゆるやかに下っていく。
余笹川の寺子橋。旧道は100mほど上流側で川を渡っていたが、橋を渡ってからそれに気づき、橋を戻って旧道部分を歩き直す(わずか100mほどの部分だが)。
右岸部からみた下流側。
右岸部からみた上流側。
余笹川を渡って、さらに標高差30mほどの丘陵を2つ越えると那須塩原市から那須町に入る。
丘陵を越えると、黒川の低地への下りとなる。
黒川の手前での旧道は直進してから左折して、黒川を渡る(鍋掛宿と同じパターン)。
右岸部からみた黒川の上流側。
黒川を越え、標高差30mほどの丘陵を越えたところにある夫婦石の一里塚。
丘陵を下り、国道294号線を横断し、奈良川を渡る。
奈良川の上流側。余笹川、黒川、奈良川ともに那珂川の支流であるが、だんだんと川は小規模になっていく。これは上流部の山地の標高が西側から東側にいくにつれて低くなり、流域の面積がだんだん小さくなるためである。
奈良川を渡った先にある芦野宿の南の枡形。
国道294号線の標識であるが、現在はバイパスが西側にできたため、国道から格下げになっているのに、標識が撤去されずに残っている珍品(国道マニアは大喜び)。
芦野宿の中心部であるが、この日は火事(左手の奥)があって、正月だというのに消防車やパトカーがたくさん出動していた。
芦野宿の中心部の交差点を11:24に通過。
交差点から振り返ってみた反対側(奥に消防車がみえる)。
交差点からすぐのところに、石の美術館があった。時間があればみていきたかった(正月でやっていなかったが)。初めて知ったのだが、芦野石という安山岩がこの付近の特産なのだそうだ。
北側の枡形。
枡形から500mほどで、国道294号線に合流。これから境の明神までの間、国道294号線と奈良川沿いに歩いて行くが、国道の左または右側に旧道が10箇所近く残る。最初の峯岸地区は国道の西側に300mほど旧道が残る。
峯岸地区の先に約200m残る旧道。
横岡、板屋、蟹沢、高瀬、脇沢の集落は東側に約2kmにわたって連続して旧道が残る。
板屋の一里塚。切通しの街道の両側の小高い位置にある。
道の反対側の一里塚。
高瀬地区の旧道。
国道294号線が尾根の先端を切る箇所は擁壁の上を歩く。
寄居本郷地区では西側に500mほど旧道を進む。
泉田の一里塚。
尾根の張り出した箇所に残る旧道。
山中大久保地区の旧道にある初花清水と石碑。
初花清水から少し先にある瓢石。
山中地区の旧道。この辺から登り坂を体感するようになる。
境の明神の500mほど手前にある旧道。
境の明神の手前の旧道沿いにある石像。
明神地区(道路の奥が境の明神)。
峠は標高約410m(13:30~35)。峠の栃木県側と福島県側に2つの神社がある。栃木県側にある境の明神(玉津島神社)。
県境の交通標識。ここから福島県白河市となる。
福島県側にある境の明神(住吉神社)。
福島県側から振り返ってみた境の明神。
福島県側は白坂宿までほとんど高低差がない。栃木県側に比べて少し開けた明るい雰囲気がある。ここから白河宿までは1箇所を除き、国道294号線を歩いて行く。
白坂宿を13:51に通過。
白坂宿からは、まず低い丘陵の峠を二つ越していく。一度低地を横断して、さらに丘陵の峠を一つ越えていく。
戊辰の役古戦場の石碑前は右に進み、小さな丘陵を右側から回り込んでいく。
丘陵を回り込み、北西から北方向に歩いて行く。
市の中心部に入り、天神町の交差点を右折する。
白河郵便局前の旧奥州街道(国道294号線)。
クランク(枡形)を示す交通標識。街の中心部でこのような枡形が現役の国道として残っているのはめずらしい。
枡形。
白河駅前の通りとの交差点(15:13通過)。
2番目の枡形。写真の右から来て右折し、50mほど先で左折する。
左手前から来て、左折。
街道の南側に少し入ると、数mの高低差がある。街道が谷津田川沿いの段丘上に通っているためである。
御斉所街道(白河市~いわき市)との交差点。奥州街道(国道294号線)は左手前からきて左折し、左奥に進む。旧奥州街道としては、ここで終わりとする。この後、続けて、奥州街道を先に進み、一等三角点の富士見山(標高437m)を登って帰宅した(別項)。
この日は少し寒いが、気持ちよい天気で、快適に歩けた。
(2017/1/2(月・祝))
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