Michel Bras Toya Japon(ワイン編)
レストランはホテルの11階にある。12時少し前の到着で、客はまだ私のみ。部屋は展望を考慮して、洞爺湖側に向いた細長い間取りで、洞爺湖が真正面の窓ガラスいっぱいにみえ、窓の右寄りには有珠山、その麓の湖畔には洞爺湖温泉街の建物群が目に入る。最高のロケーションだ。夜は温泉街の明かりと車のライト以外は真っ暗とのことで、ここに宿泊しない場合には、ランチの方がお勧めだろう。
以下、少し長くなるため、ワインと料理の2回に分けることにする。
ワインリストは厚さ2cmくらいあった。数年前Andre KientzlerのRiesling GC Geisbergを捜してネット検索していたら、ここのワインリストが出てきたことがあった(現在は違うが、その当時は日本語のサイトで他には検索されなかったように記憶している)。他にもここ以外では輸入されていないワインがいくつもあって、いつか行ってみたいと思っていたのである。今回のリストにもAndre Kientzlerは小瓶も含めて10アイテムほどリストにあった。南西地方GaillacのRobert et Bernard Plageoles(下記2番)も本店のあるLaguioleと位置的に比較的近いせいか、10アイテムくらいセレクトされており、日本で初めてみるワインが数種類あった。また、Mas Jullienも1998から始まって5ヴィンテージくらい揃っていて驚く。他にラングドックではClos Marieが何本か目に留まった。他の日本の一流フレンチ、ワインバーでは望み得ないセレクションであるが、基本的に本店のリストに準じていることによるものと思われる。輸入はアルカンが代行しているようだ。その他では、シャンパーニュが気になって一番最初にみたのだが、特に目を引くものはなかった。ボルドーやブルゴーニュもざっとみた範囲では、敢えて飲みたいと思う銘柄はなかった。
さて、どのワインを飲むかという楽しい選択だが、Mas Jullienは自分でも6ヴィンテージほど飲んでいるため見送り、Andre Kientzlerもとりあえず今年飲んだのでパスした。まず、気になったのが、Robert et Bernard PlageolesのVin de Voile。今ではGaillacで廃れてしまった古い作り方のワインで、シェリー風味があるというのを読んだことがある。ソムリエに相談すると、料理とは合わせにくいということで涙を呑んで見送り。そこで目に留まったのが、以前、スタンダードの白を飲んで気に入ったCotes de DurasのMouthes Le Bihanの日本で売っていない上級キュヴェの赤と白。迷った末に赤を選択した。2本とも飲むことも考えたが、前日までの2日間が宴会続きで、胃腸が疲れ気味なこともあり、苦渋の選択。
1) 2005 Cotes de Duras Rouge Les Apprentis / Domaine Mouthes Le Bihan (Catherine et Jean-Marie Le Bihan)
Bergeracの隣のマイナーAOCであるが、Hugh Johnsonのポケット・ブックの最新版2013のCotes de Durasの項をみると、この生産者だけ★★★表示になっており、実力が評価されている。ワイン以外に牧場も経営しているようで、ラベルには馬の絵柄(他のキュヴェも同様)。品種はボルドー右岸系でMerlot 60%, CF 20%, Malbec 10%, CS 10%。色合いは黒々としているが、少しバック・ヴィンテージで柔らかさが出てきており、非常に滑らかに飲める。味わいとしては、ボルドー右岸系というよりは、ナチュラルなつくりのCahors(La Berangeraie, Le Clos d'un Jour, Simon Busser)によく似ている。最後まで充実して飲めて、満足できた。ボトルで税抜き15000円だったが、小売りで売っていたとすると3500~4500円くらいのワインだろう。今回飲めなかった白のPerette et Les Noisetiersも何としてでも飲みたくなった。
メインが終了し、デザートワインを勧められたのだが、飲んでみたかった以下のワインがグラスで出せるとのことで、飛びついた。(グラス2800円)
2) 2006 Gaillac Doux Vin d’Autan / Robert et Bernard Plageoles & Fils
OndencというGaillacの地元品種。細長い500mlのボトル入り。色は褐色。干しブドウ系の甘口。アルコール度数は10.5%とやや低め。穏やかな甘み。ボトルの最後の部分だった。
最後に蒸留酒のリストをみせてもらう。十分熟成した値段が張るものが大半のセレクションで、比較的手頃なもので選んだのが以下(グラス3000円)。
3) 1990 Marc de Chambertin / Domaine Trapet Pere et Fils
コハク色。アルコール度数40%。未開封のボトルを開けて出されたせいかもしれないが、熟成しているわりには、それほど香りが立たず、かなりドライな味わい。もう少し時間をおければ違ったと思う。
最後に、ワインの値付けは小売り価格の3倍~3.5倍くらいなので、安くはない。だが、価格を別にすれば、個人的にはワインリストがすばらしく、さすがとしかいいようがない。(続く)(2012/10/13飲)
以上
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